· 

「学びの場」事業所ってどんな所?

「もっと学びたい!」-そんな思いにこたえる障害福祉事業所


「学びの場」事業所とは、高校や特別支援学校高等部を卒業した後、すぐに就職や福祉事業所を選ぶのではなく、「もっと学びたい!」「もっと学んでから社会に出たい」というニーズに応えるために設立された障害福祉サービス事業所です。

一般的な大学、専門学校、特別支援学校専攻科等に並ぶ形で、障害をもつ青年たちに学びの機会を提供しようというものです。「学びの場」事業所の特色をまとめると以下のようになります。


「学びの場」事業所はあくまでも障害福祉サービス事業所の一つであり、学校ではありません。ですので、障害者総合支援法に定められる規則に基づいて運営されます。サービス種別の組み合わせや定期のプログラム内容の工夫によって、障害をもつ人の青年期の学びの場を作り出しているのです。

 

「学びの場」事業所の歴史


2022年現在、「学びの場」事業所は全国に広まって、各地でユニークな取り組みが実践されています。「学びの場」事業所、「福祉型専攻科」等と呼ばれることが多いようです。事業所の増え方を見ると、「学びの場」事業に対する期待の高さが伺えます。事業所ができるということは、それだけのニーズがあるということであり、「学び」という選択肢があるのであれば、それを選びたいという人が多くいるということなのでしょう。こうした人々のニーズにこたえるべく、これからも「学びの場」事業所は増えていくだろうと思われます。

 

そんな「学びの場」事業所が全国で初めて設立されたのは、2008年のことです。障害をもつ高校生の保護者の切実な思いがその原動力となりました。

 

「もっと学んでほしい」「もっと学べる場がほしい」

 

当時、障害をもつ生徒が「もっと学びたい」と進学を考えると、特別支援学校高等部に設置される「専攻科」がその選択肢となりました。しかし、専攻科が設置されている学校の数は全国でも極めて少なく、多くの生徒にとってその選択は現実的ではありませんでした。

 

そんな現状に声をあげたのが、和歌山県に住む保護者でした。和歌山県の支援学校に専攻科を、というのが当初の活動の目標でしたが、実現しませんでした。そこで考えられたのが、障害福祉サービスを活用して学びの場を作り出すというアイデアです。学校ではなくとも、工夫次第で学びの機会を生み出すことはできるのではないか。こうして和歌山県に全国初の福祉事業所型の学びの場が設立され、こうした動きはその後全国に広まっていったのです。

参考:障害のある青年たちとつくる「学びの場」

 

大阪府では、「学校卒業後等の「学びの場」公表について」というHP上のリストを公開し、行政が福祉事業型の「学びの場」事業所の活動を後押ししています。

「学びの場」事業所のこれから


このような設立の経緯からも分かるように、「学びの場」事業所の出発点は、「学校のような場所、学校教育の延長」という価値の実践にあります。そして、「学びの場」事業所はこうした要求に応える形で、最初の事業所が設立されて以降、全国各地で豊かな実践を積み重ねてきました。

最近では、「学校の延長」という枠組みから一歩抜け出して、独自の価値を提供しようという事業所も増えてきています。職業訓練に力を入れる事業所、集団ではなく個別での指導・支援を軸にする事業所、芸術やスポーツ等ユニークなプログラムを提供する事業所、障害の重い方の学びを実践する事業所、発達障害支援に特化した事業所、オンラインで学ぶことができる事業所…等、様々な新しい事業所ができています。こうしたユニークな価値の実践は、学校ではなく福祉事業所だからこそできる柔軟なプログラム運営が基盤になっています。

「18歳~社会参加までの青年期の時期にはどのような学びが必要か」という大きな問いに対し、学校という枠に捉われずに様々な角度から取り組もうとする動きが広まっていることは、学びの場の可能性を広げるという意味で、とても良い流れだと思います。

 

大阪北摂地域初の「学びの場」事業所、2023年春開校!


そして、2023年春、大阪北摂地域(吹田・豊中・箕面)初の「学びの場」事業所として吹田市江坂に開校するのが、「学び場 パレット」です。パレットは、障害福祉サービスの内、「自立訓練(生活訓練)」の2年間と「就労移行支援」の2年間を合わせた4年間の「学びの場」事業所です。

従来の「学びの場」事業所が大切にしてきた「学校のような場」―同年代の集団の中でお互いに影響を与え合いながら学び、経験し、成長していく場―という価値はそのままに、その先の「社会参加」という青年期の区切りまでしっかり伴走していきたいとパレットは考えています。

パレットの特徴を以下にまとめました。

先に紹介したように、「学びの場」事業所の取り組みは広がってきています。また、「学びの場」事業所以外にも、様々な進路があります。

参考:【コラム】障害をもつ高校生、どんな進路がある?

 

ぜひ、ご自身に合う場を見つけてほしいと思います。そして、パレットがあなたにとってのそのような場になることができれば嬉しく思います。

「パレットのことをもっと詳しく知りたい!」という方はお気軽にお問い合わせください。

 

今回は以上です。引き続き、障害をもつ青年たちの学びや進路、利用できる社会資源、知っておくべき社会情勢等について発信していきますので、是非チェックしてみてください!ありがとうございました。